はじめに
山頂や丘を曲がりくねって作られた万里の長城(草原にも作られている)、現存する長城の長さは実に6,000Km以上に及ぶ。日本列島の長さがざっと3,000Kmと言われているからその距離の凄さが分かる。
1987年に世界遺産に登録されている。かつては宇宙から見える唯一の人工物と言われたが、どうも細くて肉眼では見えないようだ。この長城は匈奴のような北方民族を食い止めるために作られたと言われている。
紀元前214年に秦の始皇帝が創り始め大部分は明の時代に作られたことが研究で分かっている。近年になるにしたがって北京近くに作られ、領土の境界線と言うより首都防衛が目的となった。
長城と言うと高くて幅が広いと考えがちだが多くの場所は高さ2m、幅3~5m程度だ。敦煌などにある長城はこんなタイプだ。2,000年以上に渡って、修理、改築、増築されたこの長き城は僕らにとってロマンをかき立てる存在だ。
人間が何世代にもわたってこんな凄いものを作ってしまった。今では無用の長物かも知れないが当時の人たちはこの長城の建設に命を懸けた、そんな息吹が伝わってくる。
八達嶺長城を散策する
長城のなかでも八達嶺(はったつれい)長城は特に有名で、北京から約100Kmのところにあり観光客でごった返す。僕は夏にツアーで出かけたが、まるで過密な歩行者天国を歩いているようだった。
バスで北京から出かけ駐車場から歩く。道の脇には屋台が並び日本の観光地のイメージだ。入場料金は40元(650円くらい)ほど。夏の日差しは暑く道端で売っている果物がおいしそうにみえた。
僕らのような海外からの観光客よりも大半は中国の方々だ。大都市からすぐに来られる手軽なハイキングコースというところか。天気の良い日は遠くの山々が現われて素晴らしい景色だ。
長城は幅の広い所も狭い所もある。それに急こう配のところも多いから運動靴がお薦めだ。行きかう人々が人懐っこくにっこりとほほ笑んでくれるし声もかけてくれる。残念ながら言葉は分からないので「シェシェ」と言うしかない。
途中、急こう配の坂は真ん中に鎖が張ってあり、これを掴まないと上り下りが困難だ。城は石やレンガで作られているがかなり風化しており、長い年月の経過を物語っている。しかし、ところどころに落書きがあり、残念だ。
ユーチューブ動画をご参考に。
大昔にこの長城ではどんな戦いがあったのか参考になる映画として「グレートウォール」をお薦めする。この映画は中国と米国の合作でマット・デイモンが主役だ。白人が出て来るのはおかしいかもしれないが戦闘シーンは迫力がある。
ただ、戦う相手は人間同士ではなく、中国神話に出て来る「饕餮(とうてつ)」と言う怪獣だ。これはフィクションだが、外敵の侵入から首都を守る兵士たちの苦悩がよく分かる。
中国は「大陸文化」だと言われる。ここは巨大な多民族国家だ。権力者たちが次々と代わり、争いは領土拡大が目的であった。強いものが勝ち、弱いものが滅ぶ・・・長い間それが続いてきた。だから我が強くなければ生きてゆけないのか。
日本は「島国文化」だ。海に囲まれ領土の拡大は望めない。したがって限られた地域で仲良く頑張る。そんなところが両国の国民性の違いに現れているのか・・・・。
しかし、僕が出会った中国の方たちはみんな気さくで人懐っこい。外から見るのと内から見るのとではこんなにも違うものなのか。
TATSUTATSU
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